【春号】あと味
郊外に住むお客様を訪ねた帰り道、時計を見るとお昼を少し回っている。
そう言えば腹も減って来たなと思い気にしていると、道端に小さなお弁当屋さんを見つけた。
店前にテーブルも置いてあり、そこでも食べられるようになっている。
「丁度いいなあ」と呟きながらカレーライスを買い、隅の方のテーブルに座りさっそく食べていると、別のテーブルでは5~6人の人達が食べながらワイワイと談笑していた。
それとはなしに耳に入って来る話を聞いていると仕事の話も出ていたので、おそらく近所の職場の仲間のようだ。
急いではなかったので、食べ終えた後お茶を飲みながらぼんやりしていると、別テーブルで食べていた職場の仲間とおぼしき人達も食べ終えたようで、テーブルの上を片付け始め、みんなの食べた容器を集め捨てに行く為に私の横を通りがかった時、気づいたように“あっこれも捨てましょうか?”と言ったと思ったら、私のテーブルの空になっていたカレーライスの容器をサッと手に取って、少し先にあるゴミ箱に捨ててくれた。
あわてて「すみません。ありがとうございます」と、お礼を述べると「いいえ、ついでですので」と、丁寧な言葉を残し車で去って行った。
思わず「いい社員さんたちだなあ、どんな会社なんだろう、きっと良い会社なんだろうなあ」と思ってしまった。
まったく予期しない親切に出会った後の心地よさ!。
“いいあと味”の良さがあとを引いたいい家路となった。