【年末号】気遣い
気遣い
“人波の中にひとりの師走くる” 冬将軍のご到来。
先生も走ると言われる師走を迎え、この頃どこか心が落ち着かない日が続いていたある日。
小学校1~2年生ぐらいの女の子の後に続いてスーパーに入ろうとした時のこと。
先にドアを押して入ったその子がチラッと振り返って、私が続いているのを見ると、ドアを開けたままにして待ってくれていた。
思わず“ありがとう”とお礼の声を掛けるとニコッと笑って中の方へ走っていってしまった。
ほんの一瞬の出来事だったけれど、温かな気持ちにしてくれたあの笑顔を今も思い出す。
最近は自動ドアが増えて、後に続く人に気を遣うマナーの文化が危うくなっているこの頃ですが、小さな女の子が灯してくれていた、小さな気遣いにホッコリしました。
いいことは続くものです。
先だって「予讃線のしおかぜ」で松山に向かっていた時のこと、前の座席に座っていた客が遠慮がちに顔をのぞかせて、小声でこう話しかけてきました。
「あのう、すみませんが、背もたれを少し倒してよろしいでしょうか?」二十歳くらいの若い男の人でした。
いきなりだったのでチョッとびっくりして「いいですよどうぞ」と慌てて答えると、「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言われました。
やがて背もたれは、ゆっくり静かに、まるで恐縮しているかのように遠慮がちに倒れてきました。
いきなりバタンと倒れてくるのに慣れてはいるけれど、考えてみると背もたれは前後客二人の共有物と考えられもする。
せめて静かに、遠慮がちに倒すくらいの心遣いはしたいものだと思っている者としては、我が意を得た気持ちになり、しっかりした家に育ったいい青年だなあと、ひとしきり感心させられました。
同じものでも、心の在り様で、明るくも見えれば、暗くも見える。
だから、同じことなら、まだまだ変われる余地を持っているのだと明るくとらえ、自分の心掛けや行動の糧としたいですね。
いい気遣いに触れ、なんだか嬉しくなって来ました。イイコトは気持ちを落ち着かせるのですね“ひとりの師走”いい仕舞が出来そうです。
今年もたいへんお世話になりました。
来年も宜しくお願いいたします。
“それでは良いお年をお迎え下さいね~♪!”